「洗濯王子」こと洗濯アドバイザーの中村祐一さんが、自身のフェイスブックでUGG(シープスキン)を洗ったことを紹介したところ、「えっ? UGGって洗えるの?」と思わぬ大反響! 2月21日、油シミのついた奥さんのUGGを洗い、新品同様に蘇らせたことを報告し、たくさんの「いいね!」が。大流行中のUGGだけに関心度もマックスだった。
中村さんが説明する。
「UGGは羊の皮を使ったシープスキンですが、人間の毛や肌に近い素材で、実は丸洗いには向いているんです。しかしその分、色落ちもすごい。かなり気をつけて洗わないと色ムラが出るので、様子を見ながら、根気よく作業します」(中村さん・以下「 」内同)
使用する洗剤もプロ専用のもので行う。
「一度、試してみるとわかるんですが、水に浸けるだけでも、かなり色落ちします。それを最低限にするために、シリコン成分でコーティングする洗剤や、イオンの力で色落ちを防ぐ洗剤を使います。
また、人間の肌や髪と同じで洗ったら油分を補い、潤いを与えることも必要。柔軟剤などを使って風合いを出し、乾かすときも型崩れしないよう専用の乾燥機で立てて乾かします。急激に乾かすと縮む原因になるので、完全に乾くまで1~2日ほど時間を要することもあるんです」
手間と時間がとにかくかかるのだ。
「自己流で丸洗いするのは色ムラや縮みのリスクを伴うので本当に注意してほしいんです。最近は、クリーニング店でもブーツを洗ってくれるところがあるので、ぼくはプロに任せる選択肢も持ってほしいと思います」
中村さん流の洗い方は以下の通りだ。
【1】シミを見極める
「まずはシミの種類が油なのか、泥なのかなどを見極めて、使う洗剤や洗い方を変えます。油シミがなければ、そのまま水で丸洗いの工程に移ることもありますが、今回は油シミがついていたので、まずはそこから手入れ開始」
【2】油シミを浮き上がらせる
「油シミ専用のアルコールを布につけ、UGGの油シミ部分をやさしく叩くようにしてシミを浮き上がらせます。この時、強くこすると生地を傷めてしまうので、できるだけ力を入れず、軽くたたく程度にします」
【3】UGGを丸洗い
「色落ちを防ぐプロ用洗剤を水に溶かし、UGGを浸けます。水温は低すぎると汚れが落ちにくくなり、高すぎると縮みの原因になるので20~30℃がベスト。汚れのひどい部分はスポンジなどで表面をなでるように軽くこすり洗いし、約5分、浸けておきます。5分以上浸けると生地が硬くなったり、縮んでしまいます」
【4】脱水
「専用の脱水機を使用し、30秒ほど軽く脱水を行います」
【5】すすぎ&風合いを出す
「きれいな水につけてすすぎを行います。シャワーを利用することもありますが、基本は洗濯槽などに水を張り、UGGを入れ、軽く手で押してすすぎます。すすぎが終わったら、専用の柔軟剤で風合いを出します。
市販の柔軟剤では乾いたときにムラが出たり、かえって風合いが損なわれることがあるので、油分が含まれた専用のものを使用するのが鉄則。水に専用の柔軟剤を溶かし、2~3分浸け置き浸透させる。この過程をしっかりしないと、仕上がりに大きな差が出ます」
【6】ふたたび脱水
「専用の脱水機で30秒ほど脱水し、取り出して形を整えます」
【7】形を整えて乾燥させる
「回転式ではなく、送風して乾かす、クリーニング店専用の大型乾燥機を使用します。これは衣類や靴を動かさず、置いた状態のままで乾かせるタイプなので、型崩れが防げます。
最初の1~2時間で80%くらい乾かします。温度が高すぎると縮みの原因になるので30℃前後の温度で。急激に乾かすのも縮みの原因になりますが、あまり長い時間かけると乾きムラが出てきて、線が入ったり、色ムラの原因になるので、細かくチェックしながら乾かします。ある程度乾いたら、そのまま自然乾燥させながら、1~2日間、完全に乾くまで置いておきます」
【8】仕上げ
「UGGが乾いたら、最後の仕上げ。ブラッシングをして、生地を整えます。ここで艶がなくなっていたり、ごわついていたりしたら油分を補います。ここでは、さらっとした油を使用。洗うときやすすぎのときにはしっとりするタイプの洗剤、柔軟剤を使うのに対して、最後の仕上げには、艶を出すための、オイルを使います」
※女性セブン2014年4月3日号