――「寝違え」たときの対処はどうすればいいですか。
西村: 残念ながら寝違えは劇的に改善することは少なく、時間が経つにつれて少しずつ良くなっていくことが多いです。感覚的には3、4日程度はかかるでしょうか。痛みがひどい場合は通常のケガと同じように氷などで冷やすアイシングを行って、痛みを緩和させるようにしましょう。
ただ筋肉の硬さが問題となっているものについては、痛みの少ない範囲で肩や首、肩甲骨周辺部のストレッチを行うようにするとよいと思います。蒸しタオル(濡れたタオルを電子レンジで1分程度加熱する)で首周辺部を温めることも筋肉の緊張をほぐす効果が期待できます。徒手抵抗ストレッチといって痛みのある側のこめかみ付近に手をあて、その手に抵抗するように5秒ほど力を入れ、その後ストンと力を抜きます。これを3回程度繰り返してから、痛みのある側と反対方向にゆっくり伸ばしていくと、よりスムーズに首が動くようになります。
ただしこれは軽度の場合であり、無理のない範囲で行うようにしてください。痛みがあるのに首をぐるぐる回したり、頸部を強くもんでマッサージしたりすることなどは寝違えを悪化させることがありますので素人判断で行わないようにしましょう。
また痛みが強いときは早めに整形外科を受診することをお勧めします。痛みをかばって反対側まで痛くなったり、思うような動作ができなくてケガをしたりといったことも考えられます。また単純な寝違えであればいいのですが、関節の炎症や頸部ヘルニア、神経損傷なども考えられます。
予防としては、スポーツ選手であればウォームアップ不足はかなり寝違えのリスクが高まりますので、十分に体(筋肉)を温めることを行うようにしましょう。疲労がたまっていると感じたら、運動後や入浴後など体が温まっているときにゆっくりとストレッチをすることも効果的です。前のめりの姿勢にも少し気をつけてみるといいのではないでしょうか。
たかが「寝違え」、されど「寝違え」。あれほどの投手が大事な登板をフイにしてしまうのだから、我々も気をつけたい。