国内

国交省が「ベビーカーマーク」制度化した背景に増加する苦情

 国土交通省は今年3月下旬、「電車やバスの車内ではベビーカーを折り畳まなくてもよい」とする共通ルールを明らかにし、優先スペースを示す「ベビーカーマーク」を公表した。
 
 マークは子供が乗ったベビーカーを大人が押し歩くデザイン。今後、車内の車椅子スペースや百貨店などの優先エレベーターに貼り出す。同じデザインに斜線を引くことで、エスカレーターでの使用を禁じる“禁止マーク”も作られた。
 
 合わせて作成したポスターでは、『ベビーカーは大切な命を乗せています──ちょっと気づかう、そっと見守る』と標語を掲げ、一般の利用客に理解を求める。担当の国交省・安心生活政策課の担当者はこう語る。
 
「電車やバスの車内ではこれまでも畳まなくてもよかったのですが、明確なルールがありませんでした。子育てしやすい環境作りのため、改めて周知徹底する必要があり、マークの制定を決めました」
 
 首都圏ではすでに1999年、私鉄9社と都営地下鉄が折り畳まなくても乗車してよいとする方針を決定していた。しかしその一方で、「お客様同士の気配りや配慮をお願いしている」(JR東日本)という鉄道会社もあるなど、対応はまちまちだった。メーカー各社などで作るベビーカー安全協議会も、「鉄道会社によって混雑時は畳むようにお願いする場合もあり、これが正解というものがない」と話すように、あくまでお互いが気持ち良く乗車できるよう配慮する“気遣い”に任されてきたのが実情だった。
 
 それをわざわざ制度化した理由――その背景には、増加し始めているベビーカーに対する苦情がある。
 
 昨年、国交省が鉄道会社に行なった調査では、乗客から「ベビーカーは混んだ列車への乗車を控えて欲しい」という要望が寄せられたと回答した会社が、54.5%に上った。「迷惑」と考える人たちがよく指摘するのが、乗降口や優先座席を“占拠”するママ友集団への不満だ。
 
「2~3人のベビーカーママ友が乗り込んできたら悲惨。優先座席を占拠してスマホでメール、手鏡で化粧に夢中で、他の乗客がベビーカーに邪魔されて降りにくそうにしても知らん顔。優先席には確かに子連れ女性のマークがあるが、あれは抱っこしているイラストだ。現状ですらこんな状態なのに、マークで“お墨付き”をつけられると、どんな事態が起きるのか考えただけで怖い」(50代男性)
 
「せめて改札に近い一番混む乗降口は避ければいいのに、楽だからかそこにいる。駆け込み乗車してくる客がベビーカーにぶつかりそうになったのを何度も見た。駆け込みする乗客のほうが悪いのだろうが、万が一の事故を防ぐ意味で、母親も考えればいいのにとも思う」(40代男性)
 
 続いて多かったのが、荷物置きと化したベビーカーが、周囲の乗客をヒヤヒヤさせているケース。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン