20年前から日本を何度も訪れている44歳の独身女性は、東京に住む韓国出身の知人を訪ねるうちに日本建築や美術に興味を抱き、日本語を習い始めた。その後は年に2回ほど日本各地の美術館などを訪ねるようになった。安藤忠雄の建築が特に好きだという。

 旅先で見つけるバーも彼女を日本に惹き付ける理由になっている。

「韓国でお酒を飲むといえば、何人もが集まっていつも騒々しく、まるで競い合うように安い焼酎の瓶を空にします。日本では上品な空間で店員と会話しながらスタイリッシュにお酒を楽しめる。初めてのお店にふらりと入っても、まるでそこが自分の家のように感じられる店が各地にあります。私にとって日本は安らぎの場所なんです」

 この冬、恋人と北海道を旅行したある韓国人女子大生はレンタカーを借りて札幌から小樽、函館まで一週間かけて巡ったという。彼女が日本を訪れるのは2度目。2~3日あれば移動できるはずの行程を一週間もかけた理由は何か。

「北海道はどの季節に行っても美しいと大学の日本人の先生から聞いていたので、冬景色や味覚を味わおうとあえてゆっくり周ることにしました。

 一番の目当ては『食』です。イクラ丼、ジンギスカンを食べるためにコースを決めました。日本に行ったらご当地の名物をとにかく食べたいんです。一緒に行った彼氏は日本語がまったくできないし、日本のこともぜんぜん知らないから、いろいろ教えてあげるのも楽しかったです」

 彼女たちは母国でも日本好きを隠そうとはしない。

※SAPIO2014年4月号

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