オプション価格は通常、購入時点のレートと離れているほど安くなって利益が大きくなるが、購入時点のレートと近いほど、また判定時刻が迫っているほど、的中の確率が高まる分価格も高くなる。ルール上は最短で1分前まで購入できるが、実際はそこまで直前になるとオプション価格がペイアウト金額と同程度まで値上がりしていることも多く、現実的にはほとんど投資妙味がない。

 投資家側にうれしい改正もある。判定時刻を待たずに早めの利益確定や損切りの判断がしやすいよう、各オプションには買い値だけでなく売り値も表示するよう定められた。通常のFX取引と同様の2WAY方式といえるが、スプレッドはFXに比べて広く、スリッページ(約定時の価格のズレ)が発生することもあるので注意が必要だ。

 また、従来は値動きが小さすぎた場合に自動的に負けとみなされる「レンジ外」というしくみがあったが、こうした制度も廃止された。今後は相場がどう動いても的中させることが可能になるので、FX会社に総取りされる心配はない。

 ただ、羊飼いの印象としては、新ルールは初心者にはわかりにくく、「シンプルさ」というバイナリーオプションの大きな魅力のひとつが失われてしまったように思える。しかも、取引回数が大幅に減少したことで、1日100回を超えるトレードをして利益を上げていたような投資家には大きな痛手となり、業界はいまひとつ盛り上がりを欠いているようだ。

 だが、取引回数についてはカバーする方法がある。2014年2月1日現在、バイナリーオプションを提供するFX会社は7社あるが、各社の開催時間にはズレがあるので、このズレを利用して取引チャンスを増やすことが可能なのだ。

 たとえば、各社の午前中の開催時間(冬時間)をみてみると、GMOクリック証券は8時、10時、12時、FXトレード・フィナンシャルは8時20分、10時10分、12時10分、サイバーエージェントFXは7時半、9時半、11時半、となっている。この3社以外でも開催時間はほとんど重なっていないので、複数社で口座を開設して取引できるようにしておけばチャンスはそれほど少なくはないのだ。

※マネーポスト2014年春号

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