最初は「目立って褒めてもらいたい」だけだったという彼らが意識を大きく変えたのは、地元の老人ホームへの慰問がきっかけである。子供たちがお年寄りから戦争の話を聞いたお礼に、河内音頭を披露した。
「メンバーが河内音頭を踊り始めると、お年寄りたちはリズムに合わせて大きな声を出し、メンバーの姿を見て涙を流してくれた。手を握りながら“あんたらは国の宝や”と涙ながらにいわれたあのシーンは、一生忘れられません」(嶋田さん)
この時から、メンバーは単に盆踊りに参加するだけでなく、河内音頭を通じて次世代に日本の文化を残したいとの思いが強くなった。
「全国の若者にも河内音頭を知ってもらいたい。ニコ生もその一環で始めました。毎日欠かさず放送しています。踊ってみるとこんなに面白いということを動画や言葉で伝えるのが目的ですね」(メンバーで紫織さんの母の嶋田ゆかりさん・48)
そして1年前、ニコ生上で一徹さんとの運命の出会いを果たす。若手メンバーの1人が一徹さんのニコ生に興味を持ったことがきっかけだった。
一徹さんも、自分の放送でスターダスト河内を取り上げてくれるようになり、親しい交流が続いた。そしてある日、一徹さんが所用のため、4月に車で九州に向かうことを聞く。メンバーの提案により、旅の途中で大阪に立ち寄ってもらい、そこで初めて会う約束を取りつけた。
「連絡を取り合うため、携帯電話の番号をその時に聞いたのです。でも、まさかあんなことになるとは思わなかったから、その時は住所も本名も聞いていませんでした」(十河さん)
※週刊ポスト2014年5月2日号