まして、役者はヒットドラマが出たら出たで、『何をやってもあの役にしか見えない』と言われ、悩むことになる。堺側が慎重になるのは、当然のこと」
堺にとって見れば、ヒットさせて当たり前と思われることも大きなプレッシャーになる。メリットよりもデメリットを考えてしまうのは、ごく自然なことかもしれない。
「タレントは出過ぎると、飽きられるのも早い。だからといって、出ないと忘れられる。ドラマの続編でいえば、視聴者に期待を持たせつつ、焦らすのも重要。芸能事務所の仕事は、このタイミングをうまく測ることにもあります。あまりに間があきすぎると、忘れられてしまうし、その分、期待が大きくなり、失敗する。
堺の所属事務所である田辺エージェンシーは老舗だし、夏目三久の売り出し方も練りに練って、成功させています。夏目を決して安売りをしなかったし、売れてはじめてからも高額なギャラでの特番オファーがあっても断っていた。だから、“局の顔”といえる朝の帯番組の司会をゲットできた。
『半沢直樹』における堺の出し方も熟考していますよ。ギャラを積まれたからやる、という答えは出さないでしょう。“世間やテレビは人気者をすぐに消費する”ことを、重々承知していますからね」(同前)