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韓国メディアに誤報多発の理由 正確さより速報性重視のため

 多数の犠牲者を出した韓国の旅客船沈没事故。韓国メディアの報道では、新聞も含め、様々な誤報が乱れ飛んだ。

 とりわけ、行方不明者と生存者の数が二転三転したのは、そもそもは政府発表の数字がめちゃくちゃだったからでもあるが、それだけが原因ではなかった。韓国に詳しいジャーナリストの宇田川敬介氏が語る。

「なぜこんなことが起きたのかというと、日本と違って新聞記者はすぐには現場に行かないから。テレビはさすがに映像が必要なので、事故当日に現場に入っているが、多くの新聞が事故現場に入ったのは後日です。新聞は事故翌日の朝刊で報じたが、その時点で現場にいないわけで、政府の発表だけで書いている。遺族のコメントが掲載されていたが、捏造であることが後にバレた」

 韓国紙の中央日報は5月16日付で「セウォル号報道謝罪します」という謝罪文を掲載し、犠牲者数の誤りなどの誤報を懺悔している。なかでも驚くべきはこれだ。

〈救助されたタンウォン高のイ・ダウン君(17歳)は『急に水が入ってきて、多くの友達が救命胴衣を着用できなかったと言った』と報道しました。しかし、これはイ君と通話した父が伝えた言葉でした〉

 イ君はこの事故で亡くなっていたにもかかわらず、生存者にでっち上げるというあるまじき事態である。誤報が横行する理由について、新潟県立大学政策研究センターの浅羽祐樹・准教授(韓国政治)はこう指摘する。

「韓国メディアはとにかく速報性を重視する。正確さよりもスピードが重視されるのです」

 現場に急行しないのに“速報性”を求めたのでは、ダマされるのも当然だ。

※週刊ポスト2014年6月6日号

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