ところがこの年、海外キャンプが始まると「都城(二軍)へ行け」といわれた。開幕して一軍に上がっても敗戦処理ばかりで、先発でもないのに「当て馬」(*注)にも使われる。挙げ句の果てには、優勝が決まった日に「翌日の先発で投げさせてやる」といわれた。消化試合ですよ。生まれて初めて登板を断わりましたね。
【*注】相手チームの先発投手が右か左かわからない時、登板予定のない投手などをスターティングメンバーとして登録しておき、相手チームのメンバー発表後に交代させるダミー選手のこと。偵察要員。
こうした態度が原因で、川上さんから疎まれたんだと思います。結局、任意引退になった。腰は治っていたのでまだまだ現役を続ける気でいたが、川上さんから「よそで投げられたら困る」といわれ、トレード要員にもされなかった。そこまで巨人の勝ちにこだわるか、と思いましたね。
最後に川上さんから「お疲れさん」の一言もなかったのが残念でした。「ご苦労さん会」を開いてくれたのは王さん。嬉しかったですね。
※週刊ポスト2014年8月15・22日号