盆踊りは静かに、しかし確実に広がりを見せている。盆踊りの総合情報サイト「盆踊りの世界」を主宰し、盆踊りの入門ガイドブック『盆おどる本 盆踊りをはじめよう!』(青幻舎)でも盆踊りの魅力を語っている柳田尚也さんに、その背景を聞いた。
「一つには新しい楽曲の登場があると思います。大友さんの曲もそうですし、最近は、ヒップホップのグループがアレンジをしたりと、若い人を意識した曲が増えています。ただこれは表層的といいますか、見えやすい外側の理由で、底流には二つの大きな流れがあると感じます。
一つ目は、グローバル化が進む中で、自分たちの足元を見つめようという日本回帰志向が強まっていること。二つ目は、とりわけ都市部を中心に、“つながり”を求めるようになっていることですね。東日本大震災後、コミュニティを再評価する動きが強まっています。
ただ、だからといって、かつてのようなしがらみや閉鎖性は嫌なものです。だから“ゆるい”つながりがいい。知ってる人ばかりが集まる盆踊りではなくて、地元であっても知らない人もいる程度の空間が心地よいのだと思います。最近の盆踊りはそうしたゆるさを保っているから、参加しやすいのだと思います」
本来、盆踊りは仏教行事に由来するともいわれ、先祖の霊の供養やおもてなし、お祓いのための踊りである。「そうした理解までは辿り着いてない方が多いですが、踊りを楽しむ中で、想いを馳せる方が出てきてくれればいいですね」と語る柳田さん。踊りながら、隣りの人だけではなく、先祖とのつながりも感じられたら、こんな素晴らしいことはない。