ライフ

「弱者が強者の嫌がる行為しても許容すべき」がネットの常識

 ネットの世界において「弱者」の取り扱いは非常に繊細だ。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏がその面倒くささについて解説する。

 * * *
 他人を責め、クレームをつけることの正当性がいかにあるかをアピールするのが今のトレンドである。さらには、当事者でもないのになぜか特定人物や組織を糾弾する「怒りの代理人」もウジャウジャ湧いてくるからタチが悪い。

 たとえば、前田敦子のモノマネをしたお笑いタレントのキンタロー。と小林礼奈は「バカにし過ぎている」と前田のファンから叩かれまくり、「あっちゃんに謝れ!」と怒られた。小林は芸能界から去った。もはや前田のモノマネをすることはリスキーな行為なのである。

 キンタロー。や小林を叩いている瞬間は楽しいのだろう。自分が絶対的正義の行為をし、あまつさえ、前田のことを助ける白馬の王子様になったような気分になれるんだからな。ただし、この「完全正義」のつもりであっても、冷静な目で見ればただの非常識な人であることも。嵐のライブのチケットはなかなか当たらないことで知られているが、チケットが当たったことを喜ぶツイートをすると叩かれるのだ。叩きの文句は「落選した人の気持考えろ、まず犯罪。人としてありえん」が代表的だ。

 ネットにより誰でも公の場に意見表明ができるようになったことから、権利意識が増し、不快なこと、傷ついたことを表明し、謝罪を要求しなくちゃ損、損! 状態となっている。そして、強者は徹底的に叩かれる。約220万のフォロワーを持つきゃりーぱみゅぱみゅに街中で会い、素っ気ない対応をされた匿名IDの女性がツイッターで「性格悪い」と書き、盗撮画像も公開した。

 これをきゃりーが晒したら、「あなたの影響力を考えなさい!」ときゃりーが叩かれるのである。ここでは「フォロワー多い人=強者」「フォロワー少ない人=弱者」の構図があり、「弱者が強者の嫌がる行為をしたとしても強者は許容すべき。批判するなどもってのほか」となっている。その一方できゃりーのファンも、女性に対して「ビビってツイート削除する前に謝罪しろよ」と書き、「謝罪無間地獄」状態である。

※SAPIO2014年9月号

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン