「スナックの定義にヨーグルトがふさわしいと考えられたのは、気軽な軽食やおやつにぴったりな甘いものとして売られていることが多いからでしょう。すでにフルーツ味がついていたり、底にフルーツソースが入っていたり、別添えのシリアルやチョコレートキャンディが付属しているので、ヨーグルトといえば甘いものが一般的でした」(Yさん)
ところが、約2年前に始まったギリシャ風ヨーグルトのブームをきっかけに、ニューヨークでも甘くないヨーグルトが拡大傾向にあるようだ。
「とにかく脂肪値にこだわるアメリカ人ならではの、ローファットやファットフリーが台頭しています。これまでと同じく、とろみのあるものだけでなく、ギリシャ式、ホイップやチューブ入り、豆乳やアーモンドミルク、プロバイオティクス入りなど数え切れない種類のヨーグルトが売場に溢れています。通常の甘いフルーツシロップのかわりにトマトやビーツ、ニンジン、パースニップ(シロニンジン)やスクワッシュ(カボチャ類)などの野菜を使った物も、売られるようになりました。
食べ方としては、チェルシーマーケット発祥の“甘くない”ヨーグルトがもっとも新しいでしょう。Everything(全部)と呼ばれるゴマやポピーシード、松の実、にんにく、玉ねぎをミックスしたトッピングを甘くないギリシャ風ヨーグルトにかけて、そのまま食べたり、ピタパンに入れて野菜やハーブと共にサンドイッチにします」(Yさん)
低脂肪や甘くないヨーグルトは日本でも多いが、野菜との組み合わせや、サンドイッチのソースとしてのヨーグルトは、朝食やデザートとして食べることの多い日本人には、ちょっと新鮮。しかし、味を想像してみると、ほとんど違和感はないと感じられる。
これまでパンケーキやエッグベネディクト、クロワッサンドーナツなど、ニューヨークで流行したものが日本でもブームになる現象が続いてきた。昨今の日本ではR-1乳酸菌など、機能性食品の面が支持を集めてきたが、今後ニューヨークでの流行の食べ方と共に、新たに「スナック=おやつ」としてのヨーグルトブームが到来する可能性がある。機能性の高いヨーグルトと、新トレンドの「おやつ」――両方の側面が組み合わさることで、今以上にヨーグルト人気が盛り上がりを見せるのかもしれない。