宿題代行業者をめぐる議論が盛り上がっている。「経済行為ゆえ、規制することは難しいだろう」という声の一方で、教育評論家・尾木直樹氏のように「子供に嘘をつかせる詐欺的行為」と断じる向きもある。
業者側もそうした批判の声があるのは承知している。業界大手のアイブックス学術代行代表・小泉聡史氏は自主的にこんなルールを設けていると語る。
「私たちは納品したものをそのまま学校に提出することを禁止しています。作品はあくまで参考であり、それを手本に自分で作り直していただくよう説明しています。計算ドリルなどではただ解答を書くだけでなく横に考え方を赤ペンで示します。代行業務を通じて子供たちにアドバイスしているんです」
ただの建て前ではない。アイブックスは学校から「うちの生徒が注文したか」と聞かれた場合は正直に答えるほか、親には申し込み時にドリルの解答の横に解説を加えることを伝えている。つまり「自分でやり直す」ことが前提のサービスだ。宿題代行屋Q代表・板津知直氏もこう語る。
「我々が納品しているのは模範解答で、自分でやり直していただくことは受注時に説明しています。だから夏休みの終盤になって“明日までにお願いします”といわれても断わっています。技術的には納品可能ですが、そのまま学校に提出されることがミエミエですから」
確かに模範解答を教えるだけなら教科書ガイドや参考書と大差はない。
一方で、他の業者にも話を聞こうとすると「取材は受けない」というところが多かった。後ろめたいと考えている業者が少なくないのも事実だ。
『ずるい考え方』(あさ出版刊)などの著書で知られる創客営業研究所代表・木村尚義氏は宿題代行に一定の理解を示す。
「業者を100%悪だと断罪することは難しいでしょう。自分ではできない、でも親も忙しくて教えられないという場合の学習支援の意味もある。家庭教師が横で解答を教えているのと大差ないようにも思えます」
※週刊ポスト2014年9月19・26日号