新疆ウイグル自治区の場合も同様に漢族との結婚が奨励されているが、優遇政策はチベット自治区よりもさらに露骨だ。同自治区南部のバインゴリン・モンゴル自治州チルチャン県政府は9月1日から、ウイグル族と漢族のカップルが結婚すれば、毎年1万元(約17万円)の報奨金を支給することを決めた。同県の平均年収は約7400元(約12万6000円)なので、一年間働かなくても生活できることになる。しかも、報奨金はカップルが離婚しなければ、5年間にわたって支給されることになっている。
家族の医療費も90%までは県政府持ちで、住居はもれなく支給され、3年後には両親の住宅も全額保障されるという特典付きだ。子供の学費も小学校から高校までは無料で、高等専門学校に入学すれば年間3000元(約5万1000円)、大学の場合は年間5000元(約8万5000円)が支給される。
チルチャン県の人口は10万人で、そのうちウイグル族が72%、漢族が26%を占めている。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」はウイグル族識者の話として、「ウイグル族と漢族との結婚はほとんどないが、結婚すれば、ウイグル族の場合、男女にかかわらず、ウイグル族社会から出なければならず、漢族とのカップルが増えれば増えるだけ、ウイグル文化が消失する可能性が高くなる」と伝えている。