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2014.09.24 15:59  SAPIO

昔存在した農村の「夜這い」 ムラによって違う男女のルール

 従来の民俗学が目を逸らしていた「性民俗」を発掘した異端の民俗学者・赤松啓介。いまから20年前に刊行され、学会の内外問わず驚きを与えた『夜這いの民俗学』から、詳細な調査に基づくかつての日本の性の風習を紹介する。

 赤松民俗学の代名詞である夜這いは、農村の民衆に深く根付いた風習だった。佛教大学の八木透教授が解説する。

「夜這いはムラ意識が強く、身分や貧富の格差が少ないフラットな地域で営まれました。自由な若者たちが夜這いという恋愛習俗を発達させたのです」

 当時、ムラの子供は13~15歳になると成人し、ムラのオトナとして「若衆組」に編入され、行事や祭りから警察、消防に至るムラでの役割を託された。若衆入りと同時に夜這いが始まる。

 赤松自身、「資料採取」の過程で、「向こうの山の中にお堂があるさかえ、きっと寄れや」と年上の女たちに言われ、自ら夜這いを体験した。

<ヤレヤレと戸をたたくと女が開けてくれた。仏前のロウソクを太いのに代えてくれると、中年の女性でキレイに見えたので安心する>

<腰巻きも外して素裸になり、僕も裸にしてしまって、身体を寄せてくる。僕の手をつかんで下へのばさせ、やがて密林をつかませられた。なぜたり、さすったり、つまんだりしていると、荒い息をふきかけてくる。しばらく遊んでやろうとつかんで、しめたり、ゆるめたりしていると、身体をからませてにぎりにきた>

 ヨバイド(夜這人)を歓迎するため、家の戸締まりを禁ずるムラも多かった。

<男は裏戸をそおっと開けて忍び込み、おっさんやおばはんが無粋な格好で眠りほうけている脇を通って娘のフトンの中にもぐり込んで、させて、と行くわけだが、帰りがけにおばはんともやってくるということも起きる>

 女もされるがままではなく、気に入った男には積極的にアプローチをしていた。

<昼間、娘の方から松葉を紙に包んで相手に渡して誘うこともあった。葉の一方が折り曲げられていると、足を曲げて待っている、早う来てちょうだい、というシグナルであった>

 ムラによってルールは異なるが、ムラの女ならすべて夜這いしてもいいパターンと、未婚の女に限るパターンに大別された。自分のムラの男に限る、または他のムラの男でも夜這いができるという違いもあった。

 開放していないムラへ夜這いに来たヨソ者が若衆組に見つかり、半殺しにされる例もあった。

※SAPIO2014年10月号

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