およそ1200年前に弘法大師が修行した、八十八ヶ所、総計1400kmにも及ぶ霊場を歩いて巡るのが「四国遍路」の始まり。今はバスや車で気軽に楽しむ人がほとんどで、絶景を楽しみ美食を味わい、心身共に健康にもなれる“テーマパーク”といっても過言ではない。
「香川県で生まれた弘法大師が1200年前に修行した地を巡拝するのが四国遍路です。弘法大師は真言宗の開祖ですが、お遍路に宗派は関係ありませんし、難しい決まりもないんですよ」
と語るのは、四国八十八ヶ所霊場会公認権大先達の横地稔さんと中大先達の貞美さんご夫妻(以下「」同)。
最も基本的な巡り方は、1番から順番に巡る“順打ち”。閏年(うるうどし)には、88番から巡る“逆打ち”もよいとされる。全区間を一度に巡る“通し打ち”よりも最近は数回に分けて巡る“区切り打ち”が一般的。
「実は、巡る順にもルールはなく、どこから始めても構いません。そんな懐の深さもお遍路の魅力。自然に触れ、食を楽しみ、四国の人たちからのおもてなし、“お接待”に心癒される。お遍路は普段は体験できない“未知との遭遇”を楽しむ旅なんです」
とはいえ、慣れない旅に不安も募る。
「歩き遍路の場合は、無料で宿泊できる宿もあるのですが、大部屋で雑魚寝の場合もあるので、心配なら宿坊か民宿に泊まるといいでしょう。最近は、ツアーで参加するかたが増えていますが、その場合は、宿も移動手段も用意されているので心配はありません」
ツアーによる気軽なお遍路の場合でも、基本的な作法は身につけてほしいと続ける。
「道中は、弘法大師に導かれているという“同行二人”(どうぎょうににん)の教えを意識し、我を捨て、感謝する心を持ってください。きっと巡拝後に、新しい自分を見つけられると思います」
開創1200年の今年は、秘仏の公開やライトアップが行われ、特別デザインの御影もいただける。これは、1日からでも訪れる価値ありだ。
※女性セブン2014年10月9日号