国内

台風19号 「連続する台風は弱くなる」の定説通用しない理由

 超大型台風18号に追い打ちをかけるように、台風19号が3連休の列島を標的にした。例年、台風の日本上陸は8月が最多だが、近年は10月の上陸が増え、しかも勢力が強い。

 昨年10月の台風26号が伊豆大島中心に死者40人という大きな被害をもたらしたことも記憶に新しいが、「ヴォンフォン」(スズメバチ)と名づけられた19号もまた「数十年に一度」の大災害が予想される場合に発表される「特別警報」クラスの超大型台風である。

 これまでは台風通過直後に発生した台風は勢力が弱くなるといわれてきた。なぜ今年は「強力な秋台風」が続くのか。気象庁天気相談所の矢野良明氏の解説。

「台風は水温26度以上の暖かい海面から発する水蒸気をエネルギー源とします。海水温が高いほどエネルギーが維持され台風はどんどん大きくなる。今年は海水温が日本列島に近いところまで高いために大きく発達する傾向にあります」

 一つの台風が通過すると海水が攪拌されて海面温度が下がり、その後に発生した台風が同じルートを通過すると勢力が弱くなるはずだが、今年はセオリー無視。

「今年は海水の温度が海面だけでなく深いところまで高いために攪拌(かくはん)の影響をあまり受けず、台風通過後も海面の温度が下がっていない。そのため、前の台風と変わらぬ勢力になっている。その上、沖縄付近の水温が例年より高いため、日本列島付近でも水蒸気が次々と供給されて本土上陸直前まで大きく発達し続けるのです」(矢野氏)

 10月は偏西風が日本列島近くまで南下し、台風は日本列島に沿って進むため同じルートを通る可能性が高い。勢力が弱まらない台風が同じ道を行く、つまり同じ場所に被害をもたらすから危険はさらに高まる。

 18号の警報では300万超の世帯に避難勧告が発令されたにもかかわらず、実際に避難する人は1%にも満たなかった。秋台風の当たり年。備えあれば憂いなし。十分すぎるくらいの警戒が必要だ。

※週刊ポスト2014年10月24日号

関連キーワード

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
水原一平容疑者の半生を振り返る(C)BACKGRID,Inc/AFLO
《現地レポート》水原一平容疑者「中学時代は帰宅部」同級生が口を揃える“影の薄さ”「騒いでるのをそばで見ているタイプ」「高校の同窓会には不参加」
週刊ポスト
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン