某社のマニュアルを見ると、
「牛すじの匂いはつくねにつきやすい」
「つゆは1時間で700cc蒸発する」
「味を出すタネと味を吸うタネのバランスに注意」
という具合に、細かな仕込みの手順、注意事項がずらりと並べられていた。 ちなみに味を出すタネは、ちくわ・さつま揚げ・つみれ・つくねなど。味を吸うタネは大根・たまご・こんにゃく・白滝である。
「これをうまく並べることで味にバランスが出ます。こういったルールを守っている店はタネがきれいに並び、つゆが透き通っている。おでんの匂いが充満している店は手入れが悪くつゆが濁っていることが多い」
と語るのは、コンビニジャーナリストで『コンビニだけが、なぜ強い?』(朝日新書)の著者、吉岡秀子氏だ。
都内のあるコンビニ店長もこう話す。
「おでんの美味しい店は、味を出す、吸うの2種類だけでなく、”白物系”のたまご・白滝・はんぺんと”濃色系”のウインナー・ごぼう巻き・厚揚げなどの色も意識しながら並べています。タネがすかすかで、つゆに泳いでいるような店は敬遠すべきでしょう」
コンビニによっては”おでんマイスター”と呼ばれる店員がいる店もあるという。
「おでんの管理はリーダー格の店員が担当することが多い。こまめに灰汁をとり、つゆや具材の補充をするため、ユニフォームが他の店員に比べて汚れているのが特徴。つゆがはねたりするからです。そういう店員がいる店はおでんを作るのがうまい」(前出・コンビニ店長)
※SAPIO2015年1月号