ビジネス

就活は「偽装された自由競争」 学歴フィルターの実態を解説

 就活の現場で噂されるのが、大学別に採用枠を変える「学歴フィルター」の存在だ。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏は「学歴差別はある」と断言する。その実態を紹介する。

 * * *
「学歴差別は、あります」

 STAP細胞の記者会見での小保方さん風にこう叫びたいです。いや、STAP細胞の存在は証明しきれませんでしたが、学歴差別はあるのです。

 このたび、最新作『「就活」と日本社会』(NHKブックス)という本を発表しました。2012年から2014年にかけて大学院に通ったのですが、そこでの修士論文をまとめ直したものです。この本で明らかにしたテーマは「平等、自由競争を装った差別」です。なぜ就活の選抜は不透明になるのか、なぜ学歴差別が行われるのかということに迫った1冊です。

 特に「学歴差別」に関することについてはまるごと1章その検証に使っています。いや、1冊を通じて、どの章でも学歴差別・区別については触れています。

 ここで質問ですが、皆さん、ある大学の学生がA社を受けるとします。A社のエントリー数は毎年約5000人、採用人数は50人です。この学生さんは、「誰」と競争しているでしょうか?

 普通に考えれば、自分以外の4999人が敵になります。いや、一緒に内定をする人を味方だと捉えたとしても、4950人を蹴落として、50人の枠に入る競争だと考えます。一般的にはこのように考えることでしょう。これをパターン1とします。

 しかし、これだけではありません。最低、もう3パターン存在します。

パターン2:エントリーは自由だが、学校ごとの枠があるパターン

 エントリーは自由に受け付けるものの、50名のうち、東大は5名、早慶は8名ずつ、明治は5名・・・。というように、大学によって枠を設けている場合があります。この例で言うと、例えば明治大学の学生は、同校からの応募が100名いたとした場合、95名を蹴落とし、5名に入る競争となります。つまり、ライバルは明治大学の仲間たちということになります。

パターン3:エントリーの段階で学校名、偏差値で絞っているパターン

 例えば、旧帝大クラス、早慶クラスのみ、偏差値63以上や56以上などに区切っている場合です。とはいえ、その先に大学ごとに枠があるわけではないというパターンです。

 この場合、指定した大学名や、偏差値の基準を満たした応募者が5000名中500名だった場合、450名を蹴落とし50名の中に入る競争になります。

関連記事

トピックス

指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《10年抗争がなぜ突然?》六代目山口組が神戸山口組との抗争終結を宣言 前兆として駆け巡った噂と直後に投稿された怪文書
NEWSポストセブン
川崎
“トリプルボギー不倫”川崎春花が復帰で「頑張れ!」と声援も そのウラで下部ツアー挑戦中の「妻」に異変
NEWSポストセブン
最後まで復活を信じていた
《海外メディアでも物議》八代亜紀さん“プライベート写真”付きCD発売がファンの多いブラジルで報道…レコード会社社長は「もう取材は受けられない」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《“ショーンK復活”が話題に》リニューアルされたHP上のコンサル実績が300社→720社に倍増…本人が答えた真相「色んなことをやってます」
NEWSポストセブン
依然として将来が不明瞭なままである愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
愛子さま、結婚に立ちはだかる「夫婦別姓反対」の壁 将来の夫が別姓を名乗れないなら結婚はままならない 世論から目を背けて答えを出さない政府への憂悶
女性セブン
28歳で夜の世界に飛び込んだ西山さん
【インタビュー】世界でバズった六本木のコール芸「西山ダディダディ」誕生秘話、“夢がない”脱サラ社員が「軽い気持ち」で始めたバーダンスが人生一変
NEWSポストセブン
通算勝利数の歴代トップ3(左から小山さん、金田さん、米田さん)
追悼・小山正明さん 金田正一さん、米田哲也さんとの「3人合わせて『1070勝』鼎談」で「投げて強い肩を作れ」と説き、「時代が変わっても野球は変わらない」と強調
NEWSポストセブン
行列に並ぶことを一時ストップさせた公式ショップ(読者提供)
《大阪・関西万博「開幕日」のトラブル》「ハイジはそんなこと望んでいない!」大人気「スイス館」の前で起きた“行列崩壊”の一部始終
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
山口組がナンバー2の「若頭」を電撃交代で「七代目体制」に波乱 司忍組長から続く「弘道会出身者が枢要ポスト占める状況」への不満にどう対応するか
NEWSポストセブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン