国際情報

中国人 40億ドルの空母を2000万ドルに値切った剛腕を語る

 中国初の航空母艦「遼寧」(約6万7500t)はもともとウクライナで「ワリャーグ」として建造されたが、1998年1月、素性不明の中国人実業家が現れ、スクラップ(くず鉄)として2000万ドルで買い取ったことはよく知られている。だが、その際、ウクライナ側が提示した金額は40億ドル。

 それをこの実業家が厳冬のウクライナに4日間滞在、中国から持参した62度もの白酒(パイチュー=焼酎)を酌み交わしながら交渉し、最後は2000万ドルに値切り倒した秘話が明らかにされた。

 香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が、この中国人実業家、徐増平氏への独占インタビューとして報じた。

 徐氏はもともとは中国人民解放軍の兵士で、広州軍区のバスケットボールチームの選手出身。1983年、40歳のとき軍を離れ、実業の世界に入り、ビジネスが軌道に乗り、5年後には香港に移住したという。

 だが、当時はまだ、中国大陸から香港に渡るためには、中国当局からの特別な許可が必要だったことから考えると、徐氏は軍関連の特別な機関に所属していた可能性もあるが、徐氏自身はこの間の経緯を明らかにしていない。

 この頃ワリャーグはウクライナで建造中であり、1991年12月にはソ連邦が崩壊という激動の時代に突入し、ウクライナは独立したものの、政治経済はもちろん、軍事的にも混乱を極めていた。結局、ワリャーグの建造は中断され、ウクライナ政府はブラジル、アルゼンチン、中国など新興国に買い取りを打診したものの、色よい返事は聞かれなかった。

 そこに現れたのが、徐氏だった。ウクライナにある黒海の造船所の経営者らを前に、徐氏は「ワリャーグをマカオの沿岸に浮かべて、巨大な『水上カジノ』にしたい」と語り、購入をもちかけたのだ。

 ところが、その値段は2000万ドルという法外に安いものだっただけに、造船所側はけんもほろろに拒絶。しかし、徐氏は1996年から1998年まで4回もウクライナを訪問し、造船所側と粘り強い交渉を行なった。最後は、両者が白酒を飲みながらの交渉となり、ウクライナ側はついに徐氏の軍門に下ることになったという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
水原一平容疑者の半生を振り返る(C)BACKGRID,Inc/AFLO
《現地レポート》水原一平容疑者「中学時代は帰宅部」同級生が口を揃える“影の薄さ”「騒いでるのをそばで見ているタイプ」「高校の同窓会には不参加」
週刊ポスト
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン