中高年になると増える五十肩。痛みで夜も眠れず、腕が動かせないが、8割の人は1、2年で症状は回復する。しかし、残り2割は回復せず、痛みと腕の動きが悪いままの状態が続く。
重症の五十肩は拘縮(こうしゅく)肩といわれ、肩甲骨の尖端に軟らかいとげが発生し、腱板などを傷つけているために動けなくなっている。拘縮肩の治療として、関節鏡を使用した手術が行なわれ効果を発揮している。
五十肩は、肩が痛くて夜も眠れない、腕を上げられない、肩が動かせないなど、痛みと肩関節の動きの障害の両方が起こる。痛みで不眠になり、血圧が上がったり、自律神経のバランスが崩れる、動悸やイライラが激しくなるなど、内臓の症状が起こることもある。加齢により、肩関節の周囲が変性し、炎症が起こることが原因と考えられている。
五十肩は、痛みが強い急性期が3か月程度続く。急性期は、痛み止めを服用し、リハビリテーションを行ない治療する。その後、痛みは軽減するが、腕などの動きが悪い慢性期が半年から1年続き、約8割は回復期に入る。
ところが、残り2割は慢性期のまま、痛みも残る。腕を上げようとすると、ズキンという痛みが起こり、腕を横に広げようとしてもできないなどの症状が出て、重症の拘縮肩になる。東京女子医科大学東医療センター整形外科の神戸克明准教授に話を聞いた。
「五十肩は、痛みのために肩や腕が動かなくなっていると思われがちですが、それは違います。痛みが無くても、肩や腕は動きません。構造的に肩の可動域が狭くなるのが、五十肩なのです。
重症の拘縮肩の場合は、肩甲骨の尖端にとげができて、肩の隙間が狭くなります。その結果、腱板に当たり、傷を付けることで痛みを生じたり、力瘤を作る腱が肩の中で癒着して、肩だけでなく、腕や肘までも痛くなるのです」
拘縮肩の治療は、ヒアルロン酸の注射などだが、回復しない場合に関節鏡を使った手術が行なわれる。首の付け根にブロック麻酔を行ない、肩関節の周囲に4か所7ミリの孔を開ける。この孔から関節鏡(カメラ)や電気メスなどを入れる。