地方自治体の財政が逼迫し、福祉や教育など住民サービスの予算がどんどん削られている。だが、そうした政策を決めた地方議員は高収入を維持し、彼らの懐に流れる税金は年間総額2690億円にも上る。
統一地方選で有権者にシラケムードが漂うのも無理はないが、そんな中、注目を集めているのが地方議会の「土日・夜間開催」を提言する「地方議会を変える国民会議」の活動だ。
今年2月に各界の有識者により設立され、シンポジウムなどの開催を通して賛同者が急増している。東京・千代田区議選では公認候補者を擁立し、地方自治制度に風穴を開ける政治運動に発展しつつある。発起人の1人である政治評論家の屋山太郎氏はこう話す。
「地方議会の平均会期日数は90日弱という仕事の少なさもさることながら、その仕事の中身を見ても、地方議会が機能しているとは言い難い。
地方議会のうちこの4年間で議員提案の政策条例が1つもない『無提案議会』は91%に上ります。さらに、首長が提出した議案を1本も修正・否決していない『丸のみ議会』は50%に達している。それでいて、議員個人の議案への賛否を明らかにしない『非公開議会』が84%もある。それでは市民が議員の判断をチェックしようがない。
そんなお粗末な状態であるならば、問題意識を持ったサラリーマンなどが仕事を持ったままでも議員になれるよう、議会の土日・夜間開催を実現し、怠慢議員を駆逐するしかないと考えています」
仕事はしないくせに貰う給与は高額だ。
都道府県議の月額報酬の平均は約80万円。一般市議で約40万円、町村議で約21万円。なかでも目を引くのは全国に20ある政令指定都市市議の約77万円だ。県議とほぼ同額である。現職県議が話す。
「政令指定都市の市議がライバル視するのは他市の市議ではなく県議です。だから給与も県議と競い合う形で拮抗する水準になっている。
実際、政令指定都市になると、建築確認申請は市レベルで許可を与えることができ、建物の建ぺい率や容積率も市で決められる。つまり彼らが持っている権限は県議と変わらない。政令指定都市の中でも巨大都市になれば、待遇が地方県議より上の市議はゴロゴロいます」
※週刊ポスト2015年4月24日号