国内航空第3位で民事再生手続き中のスカイマークをめぐって、航空行政全体を巻き込む新たな動きが起きている。支援の中心を担う投資ファンドのインテグラルと、支援企業に名乗りを上げた全日空。この動きの裏では、様々な思惑が交錯していた。ジャーナリストの須田慎一郎氏がレポートする。
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民事再生手続き中のスカイマークを巡る、事業スポンサーの選定作業が4月下旬になって、ようやく決着を見た。具体的にはANAホールディングス(全日空)のスカイマークに対する出資が決定し、インテグラルと共に共同スポンサーとしてスカイマークの支援に動くことになったのだ。両者の出資比率は、インテグラルの50%超に対し、全日空の20%未満。
この決着までには、水面下でインテグラルと全日空の極めて激しい綱引きがあったと見ていい。
改めて指摘するまでもなく、需要に対して圧倒的に供給数の少ない羽田空港の発着枠は、航空会社各社にとって垂涎の的であることは間違いない。なぜならこの羽田発着枠は、普通に航空機を運航しさえすれば一枠あたり年間で20億~30億円の利益が見込めるからだ。まさに“ドル箱枠”と言っていい。そしてスカイマークは、この羽田発着枠を36枠も保有しているのだ。
投資ファンドのインテグラルが逸早くスポンサーに名乗りをあげたのも、共同スポンサー候補に国内外から20社超の企業が集まったのも、この「36枠」があったからこそだ。
「スカイマークの企業価値とは、その『36枠』が生み出す利益ということに尽きる。それ以外には、何も無い」(大手航空会社首脳)
さらに佐山氏は全日空を強く意識する形で、「大手航空会社の支援が無くても再建できる」と事あるごとに繰り返すなど、全日空に対して敵愾心をむき出しにしていた経緯がある。国交省関係者が指摘する。