では実際に参加した方は、どのような動機で、何を求めてやってきたのか。本日の参加者は約40名、年齢は20代~50代までと幅広い。公務員、大手企業、サービス業、弁護士と職種も様々で、女性からもモテそうな“イケメン”も少なくない。体を鍛えている人も目に付く。ここからは彼らの生の声を紹介しよう。
■Aさん(20代、教育関係)
「知り合いを求めて参加しました。僕は新宿2丁目などには行かないこともあり、ゲイの知り合いが本当に少ないんです。最近は出会い用のアプリなどもありますが、実際に会って話した印象を大切にしたいので。相手に求めるのは、誠実さです。職業や年収にはこだわりません。見た目はそれほど重要じゃないですが、あえて好みを言えば鈴木亮平です」
■Bさん(40代、新宿2丁目で飲食店経営)
「私は2丁目でお店をやっているので、それなりに出会いはあるのですが、そういう場所に来ない方とも知り合いたいなと思って参加しました。これまでに何度かこのパーティーには参加しています。彼氏ができれば嬉しいですけど、そこまでいかなくても、友人や知り合いを増やせたらいいですね」
■Cさん(40代、リラクゼーション業)
「ゲイには“清く正しく”という出会いが少ないんです。性的なものばかりを求めがちになるといいますか……。出会い系のアプリもありますが、なかなか実際に会うまでに至らないですし。一方でここに来る人は真剣で、精神的なものを求めている人が多いところがいいなと思います。僕が相手に求めるものはやさしさですね。また、将来的には一緒に生活をしたいと思っているので、基本的な経済力のある方を望みます」
■Dさん(30代、国家公務員)
「僕はごく近しい人にしかカミングアウトをしていないこともあり、ゲイの知り合いはほとんどいません。渋谷区の条例など、世の中の大きな流れとして変化はあるのかもしれませんが、個人レベルでは、まったく言いやすくはなっていませんね。もっともっと、ゲイを受け入れてくれる社会になってくれればと願います。いまだに付き合ったこともないので、まずは仲のいい友達をつくり、段階を経て、付き合うようになるのが理想です。その辺は男女の関係と一緒なのではないでしょうか」
■Eさん(20代、看護師)
「ゲイの知り合いは1、2人しかいません。よほど親しくないとカミングアウトはできないですね。互いを尊重でき、本音を言い合える人を求めています。人生のパートナーを探しているので、定職についていて欲しいとも思います。見た目的には、体を鍛えている人が理想ですね」
■Fさん(20代、IT系)
「最近、ようやく親にカミングアウトしました。新宿2丁目にも行ったことがあるのですが、極端な人が多いなという印象です。僕は一緒にいて疲れない人がいいですね。気を遣わなくていい相手と出会いたい。女性に告白されたこともありますが、まあ、『ごめんなさい』と。理由が言えないのが心苦しいのですが」
この日、カップルは5組誕生。これは少ない方だとたるい氏は言う。フリータイムで一番人気だった男性はカップル成立ならず、「また頑張ります」と言い残して去って行った。
参加者から一様に語られたのは出会いの少なさ。そして、いまだカミングアウトしにくいという社会のあり様。オネエ系タレントのブレイクによって、そうしたテンションのキャラを求められ、自らとのギャップに苦しむという人もいた。多くのゲイが、いまだ多様な社会を実感できていない。それゆえか、パーティーには、恋を求める真剣さと同時に、心許しあえる同志に対する親密さと活気が溢れていた。