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黒鉄ヒロシ『鳥獣戯画』はピカソやダ・ヴィンチに負けてない

 紫綬褒章を受章した漫画家・黒鉄ヒロシさんが、東京国立博物館 平成館で行われている特別展「鳥獣戯画――京都 高山寺の至宝――」を鑑賞し、その魅力を語った。鳥獣戯画をおもしろく観るポイントとは?

 * * *
 最初はいたずら描きだったのが、意外とうまく描けたからって絵巻物にしちゃったんじゃないかな(笑い)。

 特にはじめの甲の巻がいい。ウサギが水浴びして遊んでいるところなんて、子供の感性そのものなんですよ。言葉で考えたりする以前、小さな子供が鉛筆を握った気持ち。自由奔放で、何かを説こうなんて小賢しい意図がないのがいいです。

 作者の絵師が相当な手練れというのは、絵に少々心得のある人ならだれでも判ること。筆使いはピカソやダ・ヴィンチにも負けていないし、世界で初めてシャッシャッと効果線(動きなどを表現するために描く実際にはない線)を使ってる。よく思いついたなと感じます。

 ただ、最後にカエルを登場させてカエルが逃げるというオチにしたのは、あまりに練られていない。鳥獣戯画は漫画のルーツとされるけど、今の漫画家ならギャラ泥棒っていわれるね(笑い)。

 ぼくはカエルがいちばん好きなんです。ウサギやキツネは曲線ですっと描けちゃうのに比べてカエルは難しい。背中のちょっと微妙に角張ってる感じなんかなんともいえないですね。

※女性セブン2015年6月4日号

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