つまみの入った透明角ボトルが駄菓子屋のように並ぶ


 その疑問を竹野さんがわかりやすく謎解きしてくれた。

「ここの土地がいびつでね、どうやってもこの形にしかならなかったんです。【2】はね、店を改装したときに、うっかりして店の外に縄のれんをかける場所を考えていなかった。内側にその場所があったということです。【3】は、昔からうちのお客さんは酒を飲むだけで、ほとんど食べない人ばかりなんですよ。だから、昔からカウンターには乾き物だけを用意してる。酒屋の方にはちゃんと缶詰類も置いてあります」

 聞いて観ると、謎解きというほどの大げさなことではなかった。しかしこれが今では、「広がっている分、出入りに窮屈感がなくていい。それに、母さん(澄子夫人)のお帰りなさいっていう声と笑顔が末広がりの向こうにあるっていうのがまたいい。このスペース、最高の遊び場です」(50代、造園業)と好評なのだ。

「オンとオフの世界を分けるのがあの縄のれんだと思うんですよ。そこに下がっているってことが大事なんです」(40代、建設業)

「仕事を終えて酒を飲みながら、ここで知り合った人たちとバカを言い合い、テレビや新聞で知ることよりもっと身近な距離の情報交換をしているんです。そのためのいい相棒が酒。つまみは合いの手。それでいいんです」(50代、製鉄業)

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