西沢摂子、小鳥遊優愛。二つの役に共通するのは「派遣社員」。これもまた、時代を映しているのかもしれません。組織に所属するうまみやメリットは享受できない、外側の存在。その一方、組織の論理に絡め取られず、距離を置きながら、観察する存在。だから、ぐずぐずと感情的に崩れてはいけない。くっきりとした人物の輪郭を維持しなければ。ぴりっとスパイスのような役割を果たすことが、求められるのです。
でも、そうしたキャラクターを演じるのはなかなか難しい。全体の物語の中で、自分の役がどんな位置や意味を持つのか、正確に把握し理解していないとできない。そんな深い仕事。こうして、優れたバイプレイヤーたちがドラマ世界に奥行きを与えていく。
もしかしたら……今の大河ドラマに足りないのは、そのあたりかも。登場人物がみな同じ比重で横並び。平板。キラリと光る脇役やドラマを下支えする味わい深い裏方が少ない。それが退屈さの要因かも……。
難しい仕事に真摯に取り組む、脇役たち。キラリと光る役者たちの存在が、次のクールのドラマを、また輝かせていく。果たしてこの先、どんな人物になって、再び私たちの前に現れてくれるのか。楽しみです。