夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(56歳)が私鉄勤務の奥様(54歳)。ご主人は自他共に認める“雨男”です。
* * *
主人とは出逢った時から雨でした。男女数人で遊園地へ行く予定だったのが、雨でホームパーティに変更。たまたま隣に座り、盛り上がって仲良くなった私たち。初デートも雨で「家でゲームでもしよう」となり、雨がひどくなったために帰れず、泊まったことで付き合うようになりました。
主人の趣味はゴルフ。でも、主人と行くと必ず雨で、オフィスでも「部長は雨男」といわれてるんだとか。一度、40人ほど参加のゴルフコンペで、幹事が「これなら、さすがの雨男も負けるだろう」と、名前が「晴男」「陽介」「照夫」の人を選び、主人と一緒の組でラウンドさせたそうです。
ところが、途中からドシャ降り。「もう、お手上げ」と、以後はゴルフに誘われなくなりました。「雨なんか大嫌いだ……」。落ち込む主人。ここは良妻である私の出番です。
「アナタ、雨の日っていいのよ。多くのお店で割引があるの。量販店などで雨の日に行って値切り交渉をすると“せっかく雨の日に来てくれたから”と安くしてくれるのよ」。アウトレットや飲食店も雨の日割引があったりします。雨の中、半信半疑の主人とクリーニング店へ。すると「雨だから」と1割引いてくれ、「ホントだ!」、晴れ晴れとした表情の主人です。
ところが外に出ると、アララ! 今まで降ってた雨がやんでる。「今日は部下たちがオレ抜きでゴルフに行ってるんだよ。オレが外出すれば雨でズブ濡れだと思ったのに!」。さっきの晴れ晴れはどこへやら。表情がたちまち曇る主人でした。
※週刊ポスト2015年6月26日号