着火剤の利点は誰でも簡単に火をおこせること。「森の着火材」に出会う前は、新聞紙を丸めて炭に火をつけることが多かったが、難しくて同行者やスタッフに頼んでも火をおこせないことが多々あった。だが、そうした心配もなくなった。

 火の点け方については、ちょっとしたコツを覚えておくといい。まず着火剤同士を、三角形に配してちょっとずつ接するように重ねて置いていく。その上に炭を置いていく時は、なるべく他の炭と重なる面が多くなるようにする。ピラミッドを積み上げていくイメージです。そうしてから一番下の着火剤に火を点ける。炎が出たら、後はひたすら団扇で扇ぐ。

 着火剤が少しずつ重なっていることでゆっくりと燃え移っていくし、炭同士が接する面が多ければ火が消えてしまうことがない。せっかく大自然の中で料理をするのだから、人工的な臭いとは無縁の料理を手軽に楽しむ術を知っておいて損はないでしょう。

【プロフィール】太田潤(おおた・じゅん):1954年神奈川県生まれ。写真家、野外料理研究家。16歳で東北一周ツーリングを体験して以来、各地をキャンプツーリングして野外料理の経験を重ねる。『アウトドアクッキング大事典』(成美堂出版)など著書多数。

撮影■渡辺利博

※週刊ポスト2015年6月26日号

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