国際情報

中国共産党史の極悪人は毛沢東 抵抗勢力糾弾し約70万人処刑

 習近平国家主席のやり方は、ある意味で中国共産党の“お家芸”だ。歴代指導者たちは常に失脚や暗殺に怯え、同志や部下の粛清を繰り返してきた。その血塗られた歴史を、中国関連の著書を多数持つ評論家・宮崎正弘氏が語る。

 * * *
 習近平の反腐敗運動など手ぬるいものだ。中国共産党(以下、中共)の熾烈な権力闘争の歴史のなかで、空前絶後の「極悪人」は中華人民共和国の生みの親、毛沢東その人である。

 1949年10月1日、北京の天安門壇上で中華人民共和国の建国を宣言した毛沢東は、返す刀で対抗勢力の民主党派を粛清した。さらに国民党の残党や地方の抵抗勢力を糾弾し、次々と公開銃殺を行った。当時の処刑人数はおよそ70万人とされる。また、中共への批判を歓迎する「百家争鳴」を呼びかけ、実際に声をあげた知識人50万人以上を「右派」として失脚させた。

 毛沢東が1958年より断行した急進的な社会主義建設の試みである「大躍進政策」では、原始的な政策に中国全土で飢饉が発生し、5000万人以上の農民が餓死したとされる。毛沢東と同郷であり、紅軍時代から行動を共にした彭徳懐はこの惨状を見かね、1959年、避暑地・廬山で開かれた会議中に政策転換を促す私信をそっと毛沢東に送った。

 しかし、飼い犬に手を噛まれたと感じた毛沢東は激昂し、会議参加者に書簡を公表、彭徳懐を「右翼日和見主義者」と弾劾して、職を解き北京郊外に監禁した。政敵の言動の瑕瑾(かきん)を探し出し、レッテルを貼って徹底的に吊し上げるのが毛沢東の常套手段だった。

 のちの文化大革命の際、哀れな彭徳懐は毛シンパから殴る蹴るのリンチを受け、肋骨2本を骨折。さらに直腸がんの治療も許されず、糞便に塗れたベッドに放置され失意と共に世を去った。   

※SAPIO2015年7月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン