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鯉の街で育った兄妹が再開 「目指しとった雰囲気」の角打ち

通りに面する大きな窓から楽しげな角打ちの様子を覗くことができる

 カープの応援に湧く鯉の街、広島。そこで見つけた角打ちの店『てらや』には、今宵も常連サラリーマンたちが、ちらほらと“カープ女子”ならぬ“角打ち女子”を混じえて、楽しげに時を過ごしていた。

「関西や北九州ほどではないですけど、広島にも古くから店の中で飲ませてくれる酒屋は何軒もあったんですよ。うちも、昭和40年に親父が『寺本酒店』の名で始めた店ですが、ずっと角打ちもやっていました」と、2代目の寺本雄一さん(48歳)。

 時世時節で、途中、コンビニエンスストアに姿を変え、何年か角打ちも中断していた。「でも、自分の考えで集めた酒を含めて、商品を黙って並べておくだけじゃ、どこか違うような気がしてきましてね。お客さんに酒の情報を伝えたい、酒を愛してくれる皆さんとコミュニケーションをはかれる店にしたいとの思いが抑えられなくなって、2年半前に酒屋を復活させ、同じ年の5月に角打ちを再開しました」

 再開直後は、表通りに面したガラス越しのカウンターひとつで、どこか遠慮がちだったそうだが、徐々にスペースが広がり、P箱(ビールケース)2段重ねの角打ちテーブルも設えられ、常連組の数も倍、倍と増えていった。

「この店は、通りから窓ガラス越しに角打ち風景が見える、これがいいんです。角打ちの店に集まる人って、優しい人や楽しい人がほとんどというのは経験上わかっているものの、初めて入る店は中の雰囲気がつかめていませんから、ちょっとした勇気が必要なんですよ。でもここは、楽しさが外にまで溢れて来てるのでよくわかる。最初からハードルが低いんです」と、窓越しの風景に引き寄せられて常連になった40代(電力会社)。彼は現在、広島角打ち学会の会長として、全国の角打ち愛好家との交流に尽力している。

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