現状、同社の代表取締役は岩田氏以外、「NINTENDO64」やWiiなどハード機の開発を手掛けてきた竹田玄洋氏と、『スーパーマリオ』、『ドンキーコング』といったゲームソフトの生みの親で知られる宮本茂氏の2人の専務がいる。
だが、「2人ともハードとソフトの技術者としては優秀だが、経営全般をジャッジできるタイプではない」(業界関係者)との評価が専らだ。前出の安田アナリストもいう。
「社長として一番重要な要素は投資の判断、つまり損切りができるかどうかです。岩田さんはゲーム関連機器の開発や制作を行うHAL研究所の社長を経験し、その手腕を買われて任天堂の社長に抜擢されましたが、今の任天堂に岩田さんに代わる経営判断をできる人は見当たりません」
業界内では外部からの引き抜き案も囁かれている。「誰が新社長になろうとも、岩田氏が敷いたレールを進みながら徐々に新しい路線を広げていくほかない」(業界関係者)。
若きカリスマを失った任天堂。岩田氏の志を受け継ぐためにも、まずは予定されている新事業を滞りなく軌道に乗せられるかがカギとなる。
●撮影/横溝敦