長いようで短い夏休み。たっぷりの宿題の中でも、とりわけ難敵なのは“自由研究”といった形の工作やレポートの類ではないだろうか。昨今は「21世紀型」教育として、知識を詰め込む暗記タイプの勉強よりも、問題の説き方や創意工夫など、課題解決力が重視される傾向へと変化してきた。そうした流れにフィットする素材のひとつとして、ロボット工作が挙げられる。子供のみならず、大人も夢中になるロボット作りのワークショップを取材した。
「ファブボット『かんなちゃん』をつくろう!」が開催されたのは、品川区にあるデジタル・ファブリケーション工房のat.Fab(アトファブ)。ちなみに『ファブボット』とは、東京都市大学小池研究室で開発されたソーシャル・ロボット『マグボット』をファブラボ関内のプロジェクトとして、ダウンサイズし改変したもの。当日は定員いっぱいの6組7名が参加したが、ほとんどが「ロボット製作は初めて」や「初めてのハンダ付けです」という大人たちだ。そのため基礎的なコツなどを交え、丁寧に解説・サポートしながら進んでいく。
ハンダ付けでは「鉛筆を持つように握って」「背が高いものから付けていくと浮いちゃうので、低いものから付けた方がいいですよ」など、アドバイスを受けながら夢中になっている姿を見ていると、工作――モノを作る楽しさが伝わってくる。
そんな中、着々と工程を進めていくのは最年少参加者の中学1年生・バッキーくん。システムエンジニアの父親とペアで参加した彼は、ハンダ付けは初体験ながら小学4年生からロボット作りに興味を持ち、『Robi』を1人で組み上げたことがあるなど、最年少にして1番の経験者。大人たちがネジ留めや構造把握に手間取る中、解説の図にザッと目を通し、まさにサクサクという感じの手際の良さで配線を進める。
ロボットを動かすプログラムは、Scratch(スクラッチ)と呼ばれるビジュアル・プログラミング環境で、動作が予め設定されたブロックを組み立てるようにプログラムを進められる。プログラミングの知識があまりなくても、気軽にアプローチできる仕組みだ。このパートでは本職であるシステムエンジニアの父親と共に動きを確認しつつ、ロボットがスムーズに動くよう調整するなど、ブラッシュアップするあたりは“さすが経験者”である。
大人たちよりスムーズに組み上げる姿に、将来ロボット関連の仕事に就きたいかを聞いてみると、「こういうのを仕事にするって意向は、特にないです」と、あくまで楽しんでいる趣味のひとつだと語る。学校では吹奏楽部に所属し、「プラモデル作りも好きだけど、1番楽しいのはゲームをしている時」というのは、普通の中学1年生らしい。