熱帯夜が続いて睡眠不足になり、日中の暑さで体のだるさが増す──連日の猛暑はそんな悪循環が生まれがちだ。寝苦しい夜にぐっすり眠り、快適な夏を過ごすにはどうすればいいのか。快眠をもたらす最新常識を紹介する。
【1】寝る前に冷たい水を飲んではいけない
睡眠中に汗をかくから、寝る前に水分補給をする。その考えは正しいが、「暑いから」といって冷たい水のガブ飲みはNGだ。
「冷たい飲み物で内臓が冷え、深部体温が一気に下がってしまう。するとその反動で体は深部体温を上げようと反応し、かえって眠れなくなってしまいます」(快眠セラピストの三橋美穂氏・以下「」内同)
【2】夕飯は辛いもの
夏はさっぱりした食事を求めがちだが、睡眠のためにはむしろ辛いものを食べたほうがいい。辛い食事は体温を上昇させ、発汗作用があるので深部体温を下げる。ただし「寝るまでに消化を終えておくことが大切」なのでドカ食いはNGだ。
【3】夕食のデザートにスイカは不向き
夏の果物といえばスイカ。ただし、夜に食べるとデメリットがある。
「スイカにはカリウムとシトルリンというアミノ酸が多く含まれていて、強い利尿作用があります。腎臓のはたらきを助け、血圧を下げる効果がありますが、一方で中途覚醒の原因にもなってしまいます」
【4】「寝酒」を飲みたければノンアルコールビール
酒を飲めばよく眠れると思い込んでいる人は多いが、三橋氏は「これは大間違い」と注意する。
「酔っぱらいが寝込んでしまう姿を見て『よく眠れる』というイメージを持ちがちですが、寝込んだ人は数時間すると、もそもそ起き出してきたりしますよね。アルコールが吸収され、肝臓で分解される段階になると、交感神経の活動が高まって目が覚めてしまうんです。その後も覚醒した状態が続き、結局はよく眠れずに疲れが取れません」
ちなみにスペインの研究グループによる実験では、「ノンアルコールビール」を飲むと寝つくまでの時間が短くなるとの結果が出ている。
「ビールに含まれるGABAというアミノ酸の一種には、神経を落ち着かせるはたらきがあります。ノンアルコールビールは、GABAを含んでいてアルコールは含まないので、睡眠のためにはいいとこ取りの飲み物といえそうです」
※週刊ポスト2015年8月14日号