ビジネス

経産省が促進する「着物出勤」 職場のトラブル増加は確実か

職場でも自宅でも着物で仕事?

 経済産業省がスーツの代わりに着物で出勤を促す「きものの日」の導入を検討しているという。

 ノーネクタイでジャケットを着用しない夏の「クールビズスタイル」は定着した感があるが、果たして着物や浴衣は仕事をするのに相応しい格好といえるのか――。社会保険労務士の稲毛由佳さんが解説する。

 * * *
 ここ数年、花火大会やお祭りで浴衣姿の若者が増えたような気がします。

 とはいえ、着物の出荷額は昭和50年代のピーク時の1兆8000億円規模から3000億円規模まで激減。着物を着るのは、成人式や結婚式くらい。一度も着物に手を通したことがないという人のほうが多い今、着物業界は青息吐息という状況です。

 そこで、着物の衰退に歯止めをかけようと、経済産業省が着物で出勤を促す「きものの日」の導入を検討しているというわけです。

 候補となっているのは、浴衣の季節である7月から8月、すでに一般社団法人全日本きもの振興会が「きものの日」として設定している11月15日、そして、仕事納め、仕事初めの年末年始の3つです。

 実は、著者もプライベートの外出は洋服よりも着物のほうが多いという着物好きのひとり。しかし、会社の人事労務管理をサポートする社会保険労務士という立場からは、この試みには諸手を挙げて賛成はできません。

 なぜなら、どうしても着物をめぐって会社のトラブルが増えることを予感してしまうからです。

 服装は個人の自由で会社は口出しすることはできません。ただし、業務の円滑な遂行や職場の秩序維持のため、服装に一定の制限をすることは可能です。

 タンクトップなどの露出の多い服やTシャツやジーパンなど、カジュアルすぎる服装は禁止――。

 就業規則や服装規定できっちりと定めている会社もあれば、暗黙の了解であったりと、多かれ少なかれオフィスにはドレスコートが存在します。

 着物も洋服同様、フォーマルなものから、カジュアルなものまで種類はさまざま。また、着方によって雰囲気もがらりと変わります。

 着物姿が非日常的な今、オフィスにおける着物のドレスコードをイメージできる人は少ないでしょう。なんの縛りもなく、オフィスでの着物を解禁したら、個性あふれる振り袖姿が話題をさらう最近の成人式さながら、職場で着物をめぐるひと悶着が起きそうです。

「職場に着物姿の人がいると、銀座のクラブにいるようで、仕事に集中できないかも」(40代男性)
「汚れると怒られそうで、仕事を頼みづらい」(30代男性)

 実際、着物姿の人と仕事をすることに及び腰になる男性も。また、着物姿の女性に「色っぽいね」と、うっかり声をかけてしまうセクハラ男性も出現しないか、心配です。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン