健康体で選手生活を続けられることがベストであることはいうまでもない。すべての野球選手が、怪我をするまで肉体を酷使すべきだというつもりもない。しかし、館山の怪我を厭わない生き様は見る者の胸を熱くさせる。
「絶対に怪我を理由に引退したくないんです。怪我の場所にもよりますが、今のスポーツ医学では肘の怪我からかなり高い確率で復帰できます。
球団広報の河端龍さんは現役時代にトミー・ジョン手術を受けて、その後復活して中継ぎのエースとして2001年の優勝に貢献しました。投手コーチの伊藤智仁さんも、肘に加えて肩も痛めたので僕が入団した2003年以降は、本来のパフォーマンスを回復できませんでしたが、『マウンドに戻ってやる』という気概を目の前で見せてくれました。
そんな先輩たちの姿勢が励みになりました。復帰できれば、打たれるのは自分の責任。能力や技術が足りないだけです。マウンドで勝負できずに辞めたくはなかったんです」(同前)
取材・文■田中周治 撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2015年9月18日号