――新たな写真集は、人工衛星で地球を撮影したということですが、その仕組みは…?

佐藤:アメリカの世界最大の人工衛星企業デジタルグローブ社と協力して、人工衛星を使って、地球の様々な場所を超高解像度カメラで撮影した写真集です。全大陸はもちろん、北朝鮮など世界120か所以上を撮影しました。

――今までにないタイプの「絶景」というのは、どういう風景なのでしょうか?

佐藤:風景という概念をリセットすると解説しているんですけど、視点が変わることで、我々の見慣れた日常が面白い風景だったと再発見できるといいますか。例えば中国の農村部も、普通に見たら面白くない景色だけど、上から見たらデジタルのモザイクみたいな、幾何学的なスケールが町の中に見えてきたり、風景本や絶景本に出てきたことのない誰も知らないような場所も、衛星から見ると特異な形をしていていたり、僕自身、撮影場所の選定や画像調整などの作業をしながら人工衛星でもう一回地球を旅して景色を再発見した感じがありました。

――撮影対象のスケールがどんどん大きくなっていますが、今後やっていきたいこととは?

佐藤:これまでに奇界や廃墟、雪男や少数民族の本を出して、今回は宇宙の本を出して、ジャンルを限らず自分が好きなものを幅広くやってきました。今年だけでも、廃墟、パプアニューギニアのマッドメン、人工衛星と本を出しましたが、その振れ幅で本を出している人ってそんなにいないと思うんです。僕の中では「人類がやってる変なこと」という形ですべて繋がっているんですが。そういう自分なりの世界観で、これからも本を作っていきたいと思っています。

【佐藤健寿(さとう・けんじ)】
武蔵野美術大学卒。フォトグラファー。UFOや雪男などのミステリーや、世界各地の“奇”なものを対象に、博物学的、美学的視点から撮影、取材、執筆を行う。これまでに世界約90か国を訪れている。ベストセラーとなった写真集『奇界遺産』『奇界遺産2』(エクスナレッジ)のほか、近刊に『世界の廃墟』(飛鳥新社)、『空飛ぶ円盤が墜落した町へ』『ヒマラヤに雪男を探す』(河出書房新社)など。

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