「昨年9月ごろに、90代の女性が脳卒中で倒れ、一度退院したものの再び急変し搬送され、その後亡くなられました。この二度ともAが担当だったんです。
その後、問題となっている転落死が相次ぐ間、また12月中旬にも89歳女性がトイレで倒れているのをAが発見したんです。搬送先の病院で亡くなられました。死因は脳梗塞でした。もちろん、老人ホームで入居者の死は避けられないものですが……」
脳神経外科医で菅原脳神経外科クリニックの菅原道仁院長によれば、
「意図的に脳卒中を発症させることは、短期的には無理ですし、長期的にも、高血圧にさせる健康的でない生活をさせるなどすれば無理ではないが、難しい」
と指摘する。いたずらにA氏を疑うべきでないのはいうまでもない。
だが、不審に思っているのはB氏だけではない。亡くなった入居者の遺族も疑念を抱いている。12月に亡くなった89歳女性の長男がいう。
「母はトイレで倒れて意識不明となり、病院に搬送された10日後に亡くなりました。警察の検死でも事件性はないとのことでしたが、母はオムツをしていたし、支えがなければ1人で歩行はできません。そんな母がなぜトイレに行ったのかと、当時から不思議でした。
その後、転落事故などいろいろな事実が発覚したことで疑念が深まりました。9月7日に市の関係者が転落事故について記者会見しているのを見て、市役所に連絡したところ、『調査します』といわれました。今はその結果を待っているところです」
A氏は何らかの事情を知っているのだろうか。A氏に聞こうと自宅を何度も訪ねたのだが、留守のままだった。
※週刊ポスト2015年10月9日号