“植松流素敵論”をまとめた『素敵は、無敵。』(KKベストセラーズ刊)を発売したファッションプロデューサーの植松晃士氏。そんな植松さんに、「おしゃれね」と「素敵ね」の違いについて語ってもらいました。
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皆さま、ご機嫌よう。今回は“おしゃれ”と“素敵”のお話をいたします。あなたは人から「おしゃれね」と言われたことがありますか? もしそうなら、「あら、私のファッションセンスの良さがわかったのね」と、内心、鼻が高かったかしら。でもこれ、決してほめ言葉ではありませんよ。
もちろん、おしゃれであることは素敵の一部ですが、過剰なおしゃれ感は、その人の個性を埋没させてしまうもの。女性にとって最大級の賛辞は、お洋服も含めた全身を「素敵ね」とほめられることなのです。
ときどき、“素敵”を勘違いして、「私なんてパーティーに出ることもないし、ドレスアップする機会もないから」と、投げやりなことを言う人がいますが、大きな誤解です。
私たちの日常のどんなシーンにも素敵は隠れています。たとえばご近所のスーパーでその場になじみながら輝いていたら、それが素敵。
そもそも日常の素敵に慣れていないと“いざ”という時に、大騒ぎになってしまうものです。わかりやすい例が、結婚式や同窓会。昭和の演歌歌手のステージ衣装のようなお姿で現れ、周囲の人々から「あの人、どうしちゃったの?」と噂される残念な人っているでしょ?
そんな特別なシーンで無駄に張りきるより、日常のささやかなシーンをほんのりと色づかせたほうが、どれだけ人生が豊かになるか。
※女性セブン2015年10月8日号