1977年のNHK大河ドラマ『花神』では、準主役ともいえる高杉晋作を演じた。
「初めての時代劇、しかも大河でしたから頑張らなきゃとは思っていましたが、結局は自分なりにやる感じでしたね。
高杉晋作という人物自体に魅力があるので、手応えを感じながらやらせてもらいました。一体どういう人なんだろうとは、よく考えました。才能があって時代を変える人もいれば、上手く時流に乗るだけの人もいれば、時流に乗れない人もいる。高杉は『何かを持っていた人』なんだと思いましたので、その雰囲気を出すことに努めましたね。
はしゃぐ時はバカ騒ぎする一方で、真面目な時はウィスパーを使って小さい声で喋る。そういうメリハリを使って『ただ者じゃないぞ』という感じを見せる作業をしました。
ただ、実は着物を着なれていなかったので、当時の記者会見や立っている姿を改めて見ると首が前に出ているんですよね。幸い当時のテレビドラマではフルショットで映ることがなく、座っている芝居が多かったので、目立つことはなかったですが」
■春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『あかんやつら~東映京都撮影所血風録』(ともに文藝春秋刊)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社刊)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。
※週刊ポスト2015年10月9日号