フェイスブックが新機能をスタートさせた。「いいね」だけでなく、「悲しい」「怒り」などの6つの絵文字を登場させるという。これは便利なのか面倒なのか。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が斬る。
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フェイスブックが、なんだか余計な機能をスタートさせました。もしかしたら、一気にフェイスブック離れを加速してしまいかねない深刻な事態です。10月8日米フェイスブックは、「いいね!」ボタンを発展させた新機能「リアクション」を発表。同日から、アイルランドとスペインで試験サービスをスタートさせています。
これは、「いいね!」ボタンを長押しすると、今までの親指を上げたイラストに加えて、さらに6つの絵文字が登場するというもの。ハートマークの「LOVE(好き)」、笑っている顔の「Haha(笑)」、ニッコリしている顔の「Yay(イェー!)」、驚いているような戸惑っているような顔の「Wow(ワオ!)」、泣いている顔の「Sad(悲しい)」、顔が真っ赤になっている「Angry(怒)」というラインナップです。
少し前に「dislike(よくないね)」ボタンが導入されるという噂もありましたが、それは見送られて、さらに多彩で複雑な表現方法が導入されました。フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカ―バーグ氏は、フェイスブックへの投稿の中で「(リアクションの機能は)悲しみや共感を容易に表現する力を与えてくれる」と述べています。
そりゃそうなんでしょうけど、やがて日本版にも導入されたら、最初はいろんな騒動が巻き起こるかもしれません。大人としてきちんと使いこなそうとすればするほど、頭を悩ませることになるし、思わぬ誤解を生んであわてる羽目になりそうです。
たとえば、誰かがダジャレを投稿したとしましょう。しかもそのダジャレが箸にも棒にもかからない場合、どのボタンが適切なのか。「Haha(笑)」の絵文字があるだけに、普通の「いいね!」を押すと、相手は「つまんなかったって意味かな?」と邪推するかもしれません(じつはそう思ってるんですけど)。「いいかげんにせんかい!」と突っ込むつもりで、親近感を込めて「Angry(怒)」の絵文字を使ったら、本気で怒っていると取られてしまう可能性もあります。あれこれ考えると、どれも怖くて押せません。
あるいは、自分が旅行で幕末がらみの史跡を訪れ、街並みの写真を投稿したとします。いろんな顔文字のリアクションがありそうですが、誰がどんな顔文字を押してくれたかを見ながら、「この『Yay(イエー!)』は、どういう意味なんだろう……」「この人は『Sad(悲しい)』を押してるけど、もしかしてここで暗殺されたあの人のファンだったのかな……」など、あることないこと邪推してしまいそうです。