また須田氏は、若いサッカー選手が膝を痛めてしまう意外な原因を指摘しています。
「人工芝は水はけもよく、雨の日でも競技が行なえる全天候型で便利です。ただし以前の人工芝はサッカーの練習において足首や膝にダイレクトに衝撃を与えていました。中学・高校時代長期間にわたり、人工芝で練習していることで大学入学時は膝に痛みを抱えている学生もいます」
須田氏の教え子で現在30歳のN君は、大学入学当時『もう膝がボロボロですから』と走ることも難しくサッカー部入部を諦めていました。それまでの練習環境を確かめると、人工芝で長年練習を続けていました。辞めるつもりだった彼に「才能は申し分ないのにサッカーを諦めるのはもったいない」と須田氏がアドバイスし、膝の軟骨をケアできる食品を食事に加えて、リハビリをしてケガを克服。その後4年間レギュラー選手として活躍しました。
第二の武藤選手を夢見る選手が暮らす慶応義塾体育会ソッカー部の寮の食堂では選手自身が自ら体やケガについて学び、膝などの軟骨や、傷んだ筋肉の修復のための栄養や食事の摂り方などの情報交換が積極的に行われているそう。理論的かつ戦略的。スポーツ推薦や入試制度がないにも関わらず多くのプロ選手を輩出する、文武両道の慶応サッカーの強さの秘密はそこにあるのかもしれない。
※慶應義塾大学では、1927年の体育会公認の部となったときから「サッカー部」ではなく「ソッカー部」を名乗っている。”Soccer”の発音はソッカーに近いと言う初代主将の命名による。