10月11日、日本人の性事情を科学する学術団体、日本性科学会が学術集会を開催した。そこで婦人科医の関口由紀氏(女性医療クリニックLUNAグループ理事長)が報告したのが、「萎縮した膣が締まって潤う膣フラクショナル炭酸ガスレーザー治療」についてだ。一体どんな治療なのか。
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閉経前後から女性ホルモンの低下により膣の萎縮が起こると、膣の乾燥感や灼熱感、かゆみ、疼痛、性交痛、尿漏れなどの閉経関連性器尿路症候群(GSM)が起こります。
一般的な治療法として女性ホルモンの経膣投与が用いられますが、女性ホルモンを使用できない患者さんもいます。
そんな患者さんに有効なのが、昨年アメリカの食品医薬品局(FDA)に承認された膣フラクショナル炭酸ガスレーザー治療です。
欧米では爆発的に普及しており、日本でも「モナリザタッチ」の名称で導入が始まっています。3回施術すると膣の灼熱感、乾燥、性交痛、ゆるみが改善するという論文がイタリアで発表されています。
当院では今年の4月までに、8人の患者さんに1か月間隔で2回照射しました。3か月後または6か月後の経過観察が終了している4人に関しては、全員が膣の締まりが改善したと答えました。
膣フラクショナル炭酸ガスレーザー治療では膣粘膜の細胞分裂が促されることにより膣に潤いが出て、膣内の環境がよくなり、さらに膣粘膜下のコラーゲンが造成されます。
その結果、膣の締まりがよくなり、尿漏れや性交痛の改善にも効果が出るようです。施術中に膣口付近で強い疼痛を訴えた人が1人いましたが、他の7人は許容できる不快感だったといいます。まだ実績が少ないのですが、1年に1度の施術で効果を持続することができそうです。
※週刊ポスト2015年11月6日号