今年、不正会計問題が発覚し、2016年3月期上期(4~9月)で6年ぶりとなる営業赤字(904億円)に見舞われた東芝の賞与も、社内カンパニー業績などが組み込まれた業績連動型だ。
「夏のボーナスで未払いだった業績連動分が冬に上乗せされる予定ですが、ここまで会社が傾いているので、金額はまったく期待していません。今後は半導体部門だけでなく家電部門にもメスが入れられる方向なので、今後はボーナスどころの話ではなくなると思います」(30代・東芝社員)
東芝のような不祥事企業でなくとも、来年、再来年のボーナス額をアテにして家計をやりくりするご時世ではない。前出の溝上氏が続ける。
「いまやボーナスも“生活給”の一部。賃上げが進んできたといっても大企業ばかりで、いまだに基本給自体が変わらない中小企業もたくさんあります。上がらない給料をボーナスで補っている家庭が多い中、年末年始にパーッと散財する気分になれないのが現実ではないでしょうか」
11月9日、厚生労働省は物価の伸びなどを考慮した9月の「実質賃金」が3か月連続で前年同月比を上回ったと発表した。
これは働く人1人あたりの月給や賞与など「現金給与総額」をもとに弾き出された数字だが、「非正規雇用の増加や、残業時間の積み増し分なども影響するため、国民の給料・ボーナス水準が押しなべて上昇しているとは言い難い。むしろ賃金格差は拡大している」(大手シンクタンク調査員)との見方は根強い。
さて、今冬のボーナス商戦で個人消費をどれだけ喚起させられるか。