それに伴って、過激な抗議活動は一時期よりも減っているという。今、フェイクファーをうまく取り入れているブランドには、ポール・マッカートニーの娘がデザインするステラ・マッカートニーがある。

 デザイナーのステラは幼少の頃からベジタリアンを貫く筋金入りのエコロジストで、自分のデザインする服やバッグにリアルファーや本革は決して使わない。代わりに、フェイクレザーや合皮は積極的に採用している。

 しかも、フェイクとはいえ、お値段はリアル並み。今季のファーコートは50万円を優に超える。

 その値段設定には「“真のラグジュアリー”とは、安全で質の高い素材の開発から、最後のディテールの仕上げまでを、特定の工場で徹底することだ」と考えている彼女らしさが色濃く反映されていると見られている。

 一方で、私たちに身近なブランド、例えばH&Mやユニクロ、アースミュージック&エコロジーなども、リアルファーは使わないと宣言している。そして2016年、1990年代に市民権を得たフェイクファーは、新たな転換点を迎えた。

 この秋冬の新作には、フェイクファー改め「エコファー」を使ったアイテムが目白押しなのだ。あえて名前をエコファーに変えているのは、環境問題に関心を払っていることの表れ。リアルからフェイクへ、フェイクからエコへというこの流れは、加速することはあっても、止まることはなさそうだ。

「ただ、人類は長くリアルファーを着てきましたし、冬が寒い地域では、今でもリアルファーが好まれていますよ」(藤岡さん)

 リアルファーは着てはいけないものなのかというと、決してそうも言い切れないだろう。リアルファーとフェイクファー、どちらを選ぶにしても「だから私は、こっち」と信念を持って言えるのが、本当のおしゃれということなのかもしれない。

※女性セブン2015年12月10日号

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