ビジネス

たばこ休憩とネットサーフィン 「職務専念義務違反」なのは

たばこ休憩を巡る議論は尽きない

 勤務時間内の「たばこ休憩」は1日どの程度なら許されるのか――。

 事あるごとに勃発するこの議論。当サイトでも過去に取り上げ、〈他の社員がトイレに行ったりジュースを買いに行ったりする頻度や時間と同じくらいであれば社内で波風も立たない〉とする社会保険労務士の見解を紹介した。昼休みを除き、時間は1回5分、1日3回程度が許容範囲である、と。

 しかし、この問題はいつの間にかエスカレートし、「あり」か「なし」かの二者択一を迫る風潮になっている。

 11月11日に放送された情報番組の『ミヤネ屋』(日本テレビ系列)でも、市民団体「兵庫県タバコフリー協会」が調査した公務員の「たばこ休憩調査」を取り上げ、スタジオゲストを交えて激論が繰り広げられた。

 同調査によれば、兵庫県尼崎市役所の職員が喫煙所に訪れた人数を目視でカウント。1日に547人いたことを確認し、「1本吸う時間5分+移動時間5分×547(人)=離席時間約91.2時間」と算出した。

 そして、調査しなかった水道局や環境局などの外局を含めて年間の給料に換算。尼崎市役所だけで少なくても1億円以上、全国の公務員の合計では年間920億円の給料にあたると試算した。

 国民の税金から給料が賄われている公務員だけに、時給換算で年920億円もの税金がムダになっていると聞けば、「けしからん」との批判も高まろう。しかし、問題は「たばこ休憩」から「休憩」の意義が考慮されていないことにある。

 同番組のコメンテーターである読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏は、こう擁護した。

〈計算上はそうかもしれないけど、(勤務時間内に)トイレに行くときだってあるし、体操したほうが(仕事の)効率が上がるときだってある。じゃあ、机に座っていればいいんですか? という話です。仕事よりもたばこ(喫煙所)に行っている時間が主になれば問題ですが、要は程度問題だと思います〉

 この意見に異を唱えたのは弁護士の本村健太郎氏だ。地方公務員法や国家公務員法の記載において、公務員は勤務時間中“職務に専念する義務”があるとの解説にかぶせ、

〈これは民間企業も同じで、トイレのような生理現象は労働時間に含めていいが、たばこは個人の私的行為なので本来は許されない〉

 と断罪した。司会の宮根誠司氏はたまらず、〈公務員の人は、トイレ以外はずっと仕事してなアカンいうこと?〉と質問すると、本村氏は〈机に座っていること自体が義務なので、抜ける(離席する)ことがダメ〉と回答。〈10分離れたらアウト、せいぜい30秒なら……〉と補足した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン