おさる:命名書とか、起業の看板とか、ロゴとか、名刺とか。書のパフォーマンスイベントもありますし、注文をいただいたらなんでも。看板だと読めないといけないので、崩しすぎず。お祝いの一言を書いてくださいと言われると、元気のある文字を書きます。命名書だと赤ちゃんの名前だから、一番濃い真っ黒な墨で、きっちりとした字を書きますね。
――書道家の活動で、感動したことは?
おさる:昨年の暮れに、歯医者さんの看板を書いたんです。リアルタイムで工事を見ていたら、ぼくが書いた文字が7m×2mくらいの看板になってできあがってきて。感動しました。いいことしてるんだなって。
それから命名書の依頼をいただくと、子供が生まれて最初に書いてくれと言われるものなので、任せとけって張り切っちゃいますね。良い字で、その子のスタートを切ってあげたいって、200%の力でやりますから。
――書をお願いすると、おいくらなんですか?
おさる:宇都鬼のホームページに依頼先が載っているんですけど、料金は応相談です。そんなに高くないですよ。でも、驚いたことがあったんですよ。大きな字で“一期一会”と書いてほしいと依頼があって、2m70cmくらいで書いたんです。できあがって、金額の相談をしようとしたら、「金払うんですか?」って言われて(苦笑)。
表装とか、書いた後もお金がかかるから、無料とはいきませんよね。そのときは「お金いるんですか? ならいらないです」と言うから、それは自分の家に飾っています。絵に比べて、字は軽く見られるのかなって。ちょっと悲しかったですね。
――芸人と書道家のウエイトは?
おさる:呼ばれた時は芸人、その他の時間はずっと書家みたいな感じです。でも自分の気持ちの中では、「やっと人に見せられる芸ができた」と思っています。今まで、「すんまそん」「うれCY」「ありがトーマス」だけだったんです。でも、やっと人に見せられる芸ができました。やっと芸人になったんですよ。
実は今まで、“芸人”と名乗っていませんでした。細かい話ですけど、プロフィールを出すときはいつもお笑いタレント”にしていたんです。ぼくは芸がないから、芸人って書けないなって。それを今年の夏くらいに、“芸人”と書くようになったんです。
だから、2011年の『東京書作展』で最優秀賞に選ばれた時はうれしかったですね。真っ暗なところに光が見えた気分でした。書道でいけますよと、天から言われた感じで。カミさん(山川恵里佳)にも褒められましたよ、「すごいね。賞もらうの、お笑いを通して初めてじゃない?」 って(笑い)。
――書道はあまり、お金がかからないもの?