JR東海の須田寛相談役(84)は就任当時、相談役の仕事についていろいろと調べたという。
「相談役には2つの種類があることがわかりました。ひとつは会社の財界活動を担って、(本社や工場が所在する)地元財界のお手伝いなどをするタイプ。社長や会長はルーティンワークがあるし、年齢的にも相談役がやるとちょうどいい。このタイプが3分の2くらいを占めています。
あとの3分の1は、相談役も『社長に近い』役割を担っていた。むしろ実力は相談役が上で、社長や会長は文字通り相談役に相談して、実質的には相談役が人事も何もかも決めてしまう」
相談役が実質トップを務めるケースは少なくない。
「でも、私は後者のような“院政”は絶対にいけないと思った。現役の人の邪魔になってはいけないし、かといって現役の人や会社に過度にお世話になってもいけない。考えた結果、会社ができる時にお世話になった地域の方々に恩返しすることが私の役目だと思い、観光に力を入れることにした」(須田相談役)
※週刊ポスト2016年1月15・22日号