櫻井:日本の素晴らしさを維持していくためには、教育が大事だと思います。本当の意味で教養のある人、惻隠の情をきちんと育むことのできる人を育てる。今の教育について、藤原さんは色々おっしゃりたいことがあると思います。
藤原:例えば、グローバル人材を育む、小学校から英語を学ぶという話があります。しかし、小学校では1週間に20数時間しかないんです。1週間に100時間あったら私は英語教育に大賛成です。20数時間では、国語を学ぶだけで精一杯です。まず国語を徹底的にやって、読書を好きにして、活字文化を復興しないと日本人が沈んでしまいます。英語どころの騒ぎじゃない。
それから、IT教育といって小学生からパソコンと戯れていたら、日本からパソコンを作ったり、素晴らしいソフトを書く人がいなくなってしまう。そういう仕事をするためには、きちんとした論理的思考を育てないといけない。数学を叩き込まなきゃいけないんです。
国語を小学校でやって、中・高で数学、あと歴史教育が必要です。縄文、弥生はともかくとして、現代史を。
櫻井:私も中教審(櫻井氏が委員を務めている中央教育審議会)で、グローバル教育で子供たちに英語を教えようということについて議論をしたんです。(そこで私は)まず日本語、国語を大事にして、読書をたくさんさせて、と一生懸命言っていました。ただ教育現場はかなり難しいだろうと思います。
ここに藤原さんの著書『祖国とは国語』があります。本当に名著だと思います。「数学をするにも国語がわかっていなければならない」という、国語の大事さを教えてくれた本でした。
※SAPIO2016年2月号