しかし、今後も北朝鮮経済が伸び続けると考えるのは早計だ。辺氏が続ける。
「国民の生活向上が伝えられる平壌は全人口の10%、およそ200万人しか住んでいませんし、その中でも莫大な富を築いて潤っているのは一部の特権階層にすぎません。闇ビジネスも含めて、北朝鮮の地下資源や水産資源を外国に売り飛ばすなど、貿易関連で利権や権益を握っている勢力に限られます。
その一方、平壌以外の地方に住む9割の人たちは、いまだに貧困に喘いでいるのは間違いありません。本当に経済が良くなっているなら、食糧問題も医療問題も自前で解決できるはずですが、北朝鮮はいまだに世界食糧計画(WFP)からの援助に頼っている。それが何よりの証拠です」
そして、国際社会の中で孤立を深める新たな核開発は、金正恩が目論む経済発展との「並進路線」にも悪影響を及ぼす可能性が高い。
「今後、国連の経済制裁が強まれば貿易も思うようにいかなくなり、カネやモノの流れが再び鈍くなる。もともと1%台前半の経済成長率ですから、またいつマイナス成長に転じてもおかしくありません」(辺氏)
上辺だけの“成金政策”を内外にアピールできるのも、今のうちだけだ。